【古墨の魅力】なぜ書家は古い墨を求めるのか?新墨との違い
書道を嗜む方なら、一度は「古墨(こぼく)」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。「古い墨」と書きますが、単に時間が経っただけの墨とは何が違うのか、なぜ多くの書家を魅了するのでしょうか。
今回は、知れば知るほど奥が深い古墨の世界と、その魅力や見分け方についてご紹介いたします。
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「古墨(こぼく)」とは?
古墨とは、作られてから数十年、墨によってはには百年単位の長期を経た墨のことです。
市販されている作られたばかりの墨は「新墨(しんぼく)」と呼ばれます。新墨には水分や膠の不純物がまだ多く含まれており、墨を磨ったときに少し粘り気があったり、墨色に尖った強さがあったりすることがあります。
墨は、年月が経つにつれて内部の水分が抜け、膠が適度に分解されていきます。この「枯れる(熟成する)」プロセスを経たものが、古墨と呼ばれます。
一般的には、製造から30年以上経過したものが一つの目安とされています。
書家が愛する古墨の3つの魅力
なぜ、多くの人がこれほどまでに古墨を追い求めるのでしょうか。
古墨には新墨では絶対に表現できない圧倒的な魅力があるからです。
1. 芯がありながらも艶やかで深い「墨色」
古墨の最大の魅力は、その「墨色」にあり、新墨の黒さと比べると、深みがあり、どこか温かみを感じさせる墨色です。
2. 滑らかな「磨り心地」と「筆運び」
水分や膠が落ち着いているため、硯で磨るときの感触が非常に滑らかです。また、粘り気が抜けているため筆にしっかりと墨が含み、紙の上を滑るような極上の運筆を味わうことができます。
3. 豊かな「にじみ」と「かすれ」の表現
古墨は紙への浸透が良く、美しい「立体感」を生み出します。
特に、濃い部分と淡くにじんだ部分が美しく分離する「淡墨表現」において、古墨は真価を発揮します。渇筆(かすれ)を入れたときにも、パサつかずに品格のある表情が生まれます。
良い古墨の見分け方と扱い方のコツ
「古い墨なら何でも良い」というわけではありません。保存状態が悪いと、膠が腐ったり、ひび割れて使い物にならなくなったりします。
音を聴く:指先や硬いもので軽く叩いたときに、カンカンと高くて澄んだ金属のような音がするものは、中までしっかり乾燥している良質な証拠です。
香りを嗅ぐ:墨には香料が含まれています。古いものは香りが薄くなっていますが、カビ臭さがなく、上品な墨の香りがほのかに残っているものが上質です。
保管は「湿気」を避けて:古墨は湿気と急激な温度変化が大敵です。桐箱などに入れ、直射日光の当たらない風通しの良い場所で保管してください。
まとめ:古墨であなたの書に「いのち」を吹き込む
古墨は、長い時間をかけて自然が作り出した「書道のアートピース」です。
お気に入りの古墨で墨を磨り、ゆっくりとその香りと色を愉しむ――。そんな贅沢な時間は、あなたの作品にこれまでになかった深みと風格を与えてくれるはずです。
弊社姉妹サイト「習字屋」の古墨コーナーでは、初心者の方でも扱いやすい年代のものから、愛好家垂涎の貴重なヴィンテージ墨まで古墨を取り揃えております。
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