書道筆の墨含みについて

書道
投稿日:2013年7月2日

初心者のお客様にたまに聞かれる質問があります。
「筆の根元に糸を巻いて使っても大丈夫ですか?」

フノリで固めていた部分が緩くなり、筆が扱いにくくなったためにこのような処置をされるのだと思います。

絶対に間違いではないのでしょうが、あまりオススメ出来る使用法ではありません。

理由は、

・穂先を固定することでイタミが早くなり、寿命が短くなります。
・根元を糸で巻くことで洗わないため、その部分で墨が固まり筆の穂先が割れます。
・筆の墨含み能力を活かせません。

上記2点はメンテナンス上の理由、最後の1点は書道筆の可能性を伸ばすためです。

条幅作品など大きな作品を書くとき、筆の墨含みを向上させるためにも全部おろしておく必要があります。

筆を紙に押し付ければ墨がたくさん紙に落ちてニジミを出すことが出来ます。
墨含みのある筆であれば、墨がほとんどなくなってもカスレた線で書くことが可能です。
ニジミとカスレを調整するのに筆の墨含みは重要です。