蘭亭序/蘭亭叙(王羲之)とは?

書道人名
投稿日:2020年4月21日
王義之の蘭亭叙

蘭亭序/蘭亭叙(王羲之)とは?

  1. 蘭亭序/蘭亭叙(王羲之)とは?
  2. 蘭亭序/蘭亭叙の作者・王羲之とは?
  3. 王羲之が使った書道具は?
  4. 蘭亭序/蘭亭叙の模写本
  5. 蘭亭序/蘭亭叙の刻石拓本
  6. 蘭亭序/蘭亭叙の特徴は?
  7. 蘭亭序/蘭亭叙の臨書 書き方のポイント
  8. 蘭亭序と蘭亭叙の違いは?
  9. 蘭亭序/蘭亭叙の全文
  10. 蘭亭序/蘭亭叙の書き下し文

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蘭亭序/蘭亭叙(王羲之)とは?

行書の名品・王羲之の蘭亭序は、書道史における最高傑作として知られています。

蘭亭叙の作者・王羲之とは?

蘭亭叙の作者の正しい漢字の表記は、「王羲之」です。王義之とネット検索される方が多いため、便宜上王義之と併記させていただきます。

古来より本家中国はもとより、日本でも「王羲之を学ばずんば書にあらず」とまで言われています。
王羲之の書法とは、どういうものなのでしょうか?

王羲之の行書としては、蘭亭叙・興福寺断碑・集字聖教序が有名です。
日本では、ほとんどの書道の先人が蘭亭序、集字聖教序、十七帖をはじめたくさんの王羲之作品が臨書され、研究されています。
また、中国でも東晋以来、明代、清代に至るまで王羲之がベースになっています。
現在の中国では、顔真卿・欧陽詢が主流のようですが、この2人も元を辿れば王羲之に行きつきます。
書道の歴史は、甲骨文字からはじまり、大篆、小篆、隷書、楷書、行書、草書など様々な書体があります。
楷書と草書は王羲之以前に完成されていましたから、王羲之の功績は、蘭亭序や集字聖教序にある行書の完成ではないでしょうか。
王羲之以前の書は、読むための文字が主流でしたから、読みやすさが重要な要素でした。
しかし王羲之の書法は、行書・草書の造形美や線質美を形成し、書道としての技法が飛躍的に進歩しました。
その当時の書道具の進化も王羲之の書法の一助になりました。筆は色々な獣の毛を使うようになり、紙の製法も改良が進んだのです。

王羲之が使った書道具は?

王羲之が使った筆としては、鼠鬚筆(そしゅひつ)で蘭亭序を書いたと伝えられています。
鼠鬚筆とは、ねずみの口ひげでつくった筆ですが、リスの尾毛とも言われています。
いずれにしても王義之の時代には、いろんな種類の獣毛が使われていたようです。

蘭亭序に使用された紙は、蚕繭紙(さんけんし)だったことが伝えられている。蚕繭紙は具体的にはどのような紙かは分かっていませんが、絹のようなものではないかと考えられています。

墨や硯に関しては、記録が残っていませんが、この頃には松煙墨が製造されていたようです。
硯は土を固めて焼いた瓦硯が使われだしたようです。

蘭亭叙の模写本

  1. 八柱第一本 別名「張金界奴本」 は虞世南の臨模とされています。穏やかな書風で神龍半印本よりも評価が高い
  2. 八柱第二本 褚遂良の臨模ともされていますが不明。
  3. 八柱第三本 別名「神龍半印本」 馮承素の臨模とされています。鮮明なので、初心者向きです。

蘭亭叙の刻石拓本

  • 定武本 蘭亭序を模刻し、それから制作された拓本 欧陽詢が臨模したと伝えられる
  • 開皇本 定武本よりも筆勢が大きく、点画が太く、力強い
  • 潁上本 定武本とは全く違う書風。字画は細く、ゆったりのびやかな筆致
  • 玉枕本 唐の太宗が欧陽詢に指示して出来たものと伝えられている
  • 袖珍本 神龍本の系統

蘭亭叙の特徴は?

蘭亭叙は、王羲之の書の中で最高傑作と言われています。
文字造形や表情が豊かで、曲水の宴の情景を思い起こさせる雰囲気があります。

王義之が永和九年に詩会(曲水の宴)を催し、その時の詩集の序文を揮毫されたのが「蘭亭序」です。28行全324字に込められた、王義之晩年の憂いを吐露した草稿には、加筆や修正、上書きなどがあり、推敲のあとがあります。その後何度も書き直しますが、詩酒に興じて書いたとされる草稿が自身も認める最高傑作になりました。

蘭亭序の見どころは、文章の前半部分は宴の情景が悠々とした筆致で書かれ、後半になるに従い生命のはかなさに想いを馳せ、特に後半は感情の抑揚が文字、行間にあらわれ、変化に富み、全体のバランスを考えて表現されているところです。

蘭亭叙 臨書のポイント

  • 流れるような筆づかい
  • 文字の結構の違いをよく見る
  • 楷書とは異なる筆順に注意が必要です

蘭亭序を臨書するにあたり、文字の形態を学ぶことも大切ですが、字間、行間の変化や、抑揚、上下左右とのバランス感覚、そして全体を見渡して臨書することに、学ぶべき要素があります。

全体的にほどよい動きがあり、点画1つ1つに線質の妙を感じます。

蘭亭叙は、潤い・清らかさ・静かさ・力・変化・バランスなどあらゆる要素が作品に含まれています。
臨書に使う筆は、柔らかい毛か兼毫がよいですが、自分に合ったものを色々試してみてください。

筆の構えは側筆で、字形は様々ですが、字を支える柱になる線を強く書き、他の線を添えるように書きます。
1字の中に、強弱・軽重・緩急の変化をつけます。
運筆は速めに活動的に、緩急抑揚をつけて生命力のある線を心がけます。

蘭亭序と蘭亭叙の違いは?

資料によっては、「蘭亭叙」と書かれたものもあれば、「蘭亭序」と書かれたものもあります。
本来であれば詩37首の集の序文ですから、正式には「蘭亭序」になります。

「蘭亭叙」と使われるのは、蘇軾が祖父の生前の名前を使うことを避けたことに由来しています。
中国では故人の名を口にしないという風習があります。
蘇軾の祖父の生前の名前は、「序」だったため、これを避け、「叙」と改めたのです。
蘇軾よりのちの人が、これにならって、「蘭亭序」を「蘭亭叙」としたのです。

蘭亭叙の全文

永和九年歳在癸丑暮春之初會于會稽山陰之蘭亭脩禊事也群賢畢至少長咸集此地有
崇山峻領茂林脩竹又有清流激湍暎帶左右引以爲流觴曲水列坐其次雖無絲竹管弦之
盛一觴一詠亦足以暢叙幽情是日也天朗氣淸惠風和暢仰觀宇宙之大俯察品類之盛所
以遊目騁懷足以極視聽之娯信可樂也夫人之相與俯仰一世或取諸懷抱悟言一室之内
或因寄所託放浪形骸之外雖趣舎萬殊靜躁不同當其欣於所遇蹔得於己怏然自足不知
老之將至及其所之既惓情隨事遷感慨係之矣向之所欣俛仰之閒以爲陳迹猶不能不以
之興懷況脩短隨化終期於盡古人云死生亦大矣豈不痛哉毎攬昔人興感之由若合一契
未甞不臨文嗟悼不能喩之於懷固知一死生爲虚誕齊彭殤爲妄作後之視今亦由今之視
昔悲夫故列叙時人録其所述雖世殊事異所以興懷其致一也後之攬者亦將有感於斯文

蘭亭叙の書き下し文

永和九年、歳は炎丑に在り。暮春の初め、会稿山陰の蘭亭に会す。禊事を脩むるなり。群賢畢く至り、少長咸な集まる。此の地 崇山峻嶺、茂林脩竹有り、又た清流激湍有りて、左右に映帯す。引いて以て流觴曲水を為し、其の次に列坐す。絲竹管弦の盛無しと雖も、一觴一詠、亦た以て幽情をチョウ叙するに足る。是の日や、天朗らかに気清み、恵風和暢す。仰いで宇宙の大を観、俯して品類の盛んなるを察す。所以に目を遊ばしめ懐を騁せ、以て視聴の娯しみを極むるに足れり。信に楽しむ可きなり。夫れ人の相い与に1世に俯仰するや、或いは諸を懐抱に取って、一室の内に悟言し、或いは寄せて託する所に因って、

形骸の外に放浪す。趣舎万殊にして、静躁同じからずと雖も、其の遇う所に欣び、蹔く己れに得るに当たっては、怏然として自ら足り、老の将に至らんとするを知らず。其の之く所既に惓み、情は事に随いて遷るに及んで、感慨之に係われり。向の欣ぶ所は、俛仰の間、 以に陳迹と為るも、猶お之を以て懐を興さざる能わず。況んや脩短は化に随い、終に尽くるに期するをや。古人云う、死生も亦た大なりと。豈に痛ましからずや。毎に昔人興感の由を攬るに、一契を合するが若し。未だ嘗て文に臨んて嗟悼せずんばあらず。之を懐に喩す能わず。固より死生を一にするは虚誕たり、彭殤を斉しくするは妄作たるを知る。後の今を視るも、亦た由お今の昔を視るがごとし。悲しいかな。故に時人を列叙し、其の述ぶる所を録し、世殊なり事異なると雖も、懐を興す所以は、其の致は一なり。後の攬る者、亦た将に斯の文に感ずる有らんとす。

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