北魏の楷書 龍門造像記とは?
龍門造像記は、六朝楷書を代表する古典です。
造像記とは、仏像を造った人が、その祈りの文や造像の由来を仏像のそばに刻したものをいいます。
龍門造像記の書風の特徴
龍門造像記は、北魏・隋・唐・五代・宋の時代の3680品にもの
龍門造像記は、龍門山の洞の内壁に仏像を刻み、
書法・運筆は、方筆です。
鋭角的な三角形状の線、右上がりの力強い結体、構成が注目されます。
(中には円筆の柔らかな線質の造像記もあります)
龍門二十品の書風の特徴は、概ね以下の6グループに分けることが出来ます。
1.鋭く強い点画で、右上がりの力強い結体が特徴。方筆の代表的なもの
牛橛造像記・始平公造像記・魏霊蔵薛法紹造像記・楊大眼造像記
孫秋生等造像記・高樹造像記
2.方筆ではあるが、点画にうねりの加わったもの
一弗造像記・司馬解伯達造像記・比丘道匠造像記・孫秋生等造像記
比丘恵感造像記・馬振拝造像記・広川王賀蘭汗造像記
3. 1と2の特色がありながら、転折部分に円みをもたせたもの
牛橛造像記・北海王元詳造像記・北海王国太妃高造像記
広川王祖母太妃侯造像記・比丘法生造像記
4.円筆で、熟練の味わいのあるもの
安定王元燮造像記・斉郡王祐造像記
5.技巧的ではないが、古風な味わいで隷書の面影の顕著なもの
鄭長猷造像記
6.柔らかみのある行書的な書風のもの
比丘尼慈香造像記
龍門二十品/りゅうもんにじっぽん
- 長楽王丘穆陵亮夫人尉遅造像記(495年) 別名:牛橛造像記(ぎゅうけつぞうぞうき) 龍門二十品の中でも最も評価の高いものの1つで、肉太な線質で、側筆のような力強い運筆。筆法は剛健、結体はスケールが大きい。転折や収筆に北魏書の特徴的な筆意がみられます。
- 北海王元詳造像記(498年)ほっかいおうげんしょうぞうぞうき
- 鄭長猷造像記(501年)ていちょうゆうぞうぞうき 欠字・刻しかけの文字あり。書風は素朴で、造形的には愛嬌があり面白い
- 高樹造像記(502年)こうじゅぞうぞうき
- 広川王賀蘭汗造像記(502年)こうせんおうがらんかんぞうぞうき ゆったりとした文字の配置。左に傾斜する結体が特徴。三角形の点画(方筆)。転折部分に円み(円筆)
- 広川王祖母太妃侯造像記(503年)こうせんおうぼたいひこうぞうぞうき
- 安定王元燮造像記(507年)あんていおうげんしょうぞうぞうき 線は太細の変化に富み力強い。右肩の転折部分に円みのある円筆
- 比丘尼慈香造像記(520年)びくにじこうぞうぞうき 線の振幅太細の差が大きい。行書のような書体が入り混じる。
- 北海王国太妃高造像記(不明)ほっかいおうこくたいひこうぞうぞうき 書風は北海王元詳造像記に似ています。
- 比丘道匠造像記(不明)びくどうしょうぞうぞうき 収筆をはね上げる隷法が特徴的な方筆。行書が混じっている
- 孫秋生等造像記(502年) 龍門四品そんしゅうせいぞうぞうき
- 一弗造像記(496年) 龍門四品いちふつぞうぞうき
- 司馬解伯達造像記(477年~499年)かいはくたつぞうぞうき 品格のある書風
- 洛州刺史始平公造像記(498年)別名:始平公造像記(しへいこうぞうぞうき) 結体はどっしりとしています。筆意は厚みがあって鋭いです。
- 楊大眼造像記(不明) 龍門四品ようだいがんぞうぞうき 右上がりの力強い結体
- 魏霊蔵薛法紹造像記(不明)龍門四品ぎれいぞうせっぽうしょうぞうぞうき 洗練され、整った字形。横画に収筆部分を右上にはね上げる隷法による筆跡が見られます。
- 比丘恵感造像記(502年)びくえかんぞうぞうき
- 比丘法生造像記(503年)びくほっしょうぞうぞうき 書風は北海王元詳造像記・北海王国太妃高造像記に似ています
- 斉郡王祐造像記(517年)せいぐんおうげんゆうぞうぞうき
- 馬振拝造像記(503年)ばしんぱいぞうぞうき
盛喜 一輝 KAZUTERU MORIKI
大阪府堺市中区深井中町1994‐3
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