墨の磨り方

書道
投稿日:2020年3月6日
墨の磨り方

墨の磨り方

墨の磨り方は、これから書道をはじめられる方によく聞かれる内容です。
書道作品の制作のために、基本的ではありますが、大切なポイントですので参考になりましたら幸いです。
今後、加筆・修正を加える場合がございます。

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墨の磨り方のポイント
墨を硯で磨る

墨の磨り方には、決められた固定のルールは無いのですが、書道されてきた先輩方の経験などから有効な方法があります。
以下で墨の磨り方の4つのポイントをあげます。

1.なるべくよい硯を購入する

鋒鋩(硯面の凸凹ここで墨が磨れる)が細かく、よくでた硯を使ってください。

粒子の細かい墨液が得られます。

墨色が美しく、伸びがよいになります。

2.墨を磨る前に硯を水につけておく

硯は、墨を磨る数時間前に水につけておくと、墨となじみやすくなります。

3.墨は湿気を避ける

墨は湿気を極端に嫌います。

墨の保存方法が悪いと使えなくなることがあります。

(割れた状態・モロモロの状態)

4.硯のどこで墨をどのように磨るか

墨は、硯の陸の部分で磨ります。硯の陸とは、硯の最も面積の広い平面部分です。
硯の陸に、水を少量ずつ落としながら、その水を使って墨を磨ります。
硯の海に溜めた水を墨で陸の方にすくい上げて磨る人がいます。
このやり方を繰り返すと、墨に水分が染み込んで、本来の墨の役割が果たせなくなる場合があります。
硯に対して垂直に立てて磨るよりは、斜めに倒して磨る方がおすすめです。
たまに裏返して表裏バランスよく磨るとよいです。

水は、20℃以上のものを使用しますが、熱湯は墨の粒子が粗くなりますので使わない方がよいです。
できるだけ水道水ではなく、ミネラルウォーターかカルキを抜いた水で磨るとよいです。

書体別の墨の濃さについて
楷書を書く場合は、濃い目に磨ります。
行書、草書の場合は、やや淡く磨ります。
篆書、隷書は、その中間位に磨るとよいです。
※あくまで目安について書いており、ルールがあるわけではありません。

美しい墨色をだす墨の磨り方

美しい墨色をだすには、墨の粒子が細かくなるような磨り方が求められます。

なるべく気長に力を入れず、墨を磨るようにしてください。

墨の濃度は、どのような作品にするか、どのような紙・筆を使うかなどで調整します。

墨の濃度には、大きく分けて濃墨・中間墨・淡墨の3種類があります。

にじみや墨色の微妙な美しさを表現できる淡墨をつくるときには、特に注意して墨を磨る必要があります。
淡墨は、一般的に叙情的で繊細な表現をする作品に適しています。

淡墨の作り方は、別のコラムで詳しく書いていますので、以下のリンクからご参照ください。

淡墨の作り方

濃墨は、筆の線がストレートに現れますので、書き手の意図や技術をごまかしなく表現できます。

楷書を書く場合は、濃いめに磨り、行書・草書の場合は、やや淡く磨ります。
篆書、隷書は、その中間位に磨るとよいでしょう。

にじみの味わい

にじみの味わいを出したいときには、以下のようなやり方もあります。

1.宿墨を作る

宿墨とは、墨を磨った後に、硯の中で長くためた墨のことをさします。
宿墨を使用するには、発墨もよくないですし、筆をいためる原因になりますが、書道作品制作である意図をもって使用する場合があります。

宿墨は、墨で磨った墨液を自分の好みの濃墨にのばして、長期間保存しておきます。

このようにすると、墨に含まれるニカワが変化し、磨りたてのものでは出せないにじみを出すことが出来ます。

2.膠(ニカワ)を加える

にじみに、ニカワの作用が大きく関わっています。

棒ニカワや液体ニカワは、書道専門店で購入することができます。

墨は、煤とニカワを原料としています。
ちなみに墨液に膠(ニカワ)を加えると、濃度は変わらずに、粘度が上がります。
墨を淡墨で使うとき、膠(ニカワ)を加えると、淡墨色はそのままで、濃墨を使っているような感触になります。

宿墨の濃度や保存期間・ニカワの割合は、ご自分の好みに到達するまで試行錯誤が必要です。

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