孫過庭 書譜を臨書前に特徴など

書道古典
投稿日:2020年4月13日
書譜

孫過庭 書譜を臨書前に特徴など

孫過庭の書譜は、草書の手本として大変重要な資料です。
どのような特徴があり、臨書する上でのポイントを解説いたします。

  1. 孫過庭の人物像
  2. 孫過庭 書譜の特徴
  3. 書譜の内容
  4. 書譜の臨書 書き方のヒント
  5. 書譜全文

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孫過庭の人物像

書譜の作者である孫過庭は、いつ頃生まれ、いつ頃亡くなったのか不明で、いくつかの文献から、太宗の時代から60数年生きたと推測されています。
地位に関しても、比較的低い官位にあったというだけで、ほとんど分かっていません。
書家としては、「書譜」が文章も書もすぐれているため、中国書道史上重要な存在になっています。孫過庭の作品は、この他に「草書千字文」「景福殿賦」などがあります。

孫過庭 書譜の特徴

孫過庭は、唐代で最も王羲之風の書をよくした人で、「書譜」にもそれがよく現れていますので、王羲之を学ぶための資料としても大変重要です。
書風は伝統的な正しい用筆によっていて、特に様式上の新しさはありませんが、軽妙で生気があふれています。
技巧的にも高度で、草書の技法としては最高到達点ともいえる傑作で、現在においても、草書の手本として最も重要なものの1つです。

大変変化に富んでいます。
点・線の形が入り乱れ、線に動きがあります。
筆は、硬めでも柔らかめでもどちらでも可能です。
筆の構えは、側筆です。
運筆は筆勢強く、緩急抑揚を強くつけ、はじきだしたり突っ込んだりして線に弾力をつけます。
線を練りながら変化をつけ、左右に大きく活動するように書きます。
書譜は、十七帖・智永の千字文などと比較すると、特徴をより深く学ぶことが出来ます。
書譜を全体通して見ると、はじめの部分は、慎重で動きご乏しいですが、途中から筆がよくのびています。
後半は、文字が大きくなり、やや荒々しい書きぶりです。
全体として、スピード感のある書きぶりで、程よく抑揚の変化があります。

書譜を学ぶ上でおさえておきたいのは、節筆です。
節筆とは、運筆が急停止して、次へ勢いよく動くところに節が出来ている用筆です。

書譜の内容

書譜の内容は、孫過庭のつくった書に関する論考を、孫過庭自身が草書でかいたものとみなされています。
現在は、台北の故宮博物院に所蔵されています。

書譜の臨書 書き方のヒント

  • 太い線は、筆鋒の開閉を生かし、思い切りよく書きます
  • 細い線は、粘り強く書き、動きを細やかに捉えます
  • 文字の上半では大きく動いて気分も大きく

書譜全文

書譜卷上。吳郡孫過庭撰。夫自古之善書者。漢魏有鍾張之絕。晉末稱二王之妙。
王羲之云。頃尋諸名書。鍾張信為絕倫。其餘不足觀。可謂鍾張
(自張字以下有衍文九字從旁加點)云沒而羲獻繼之。又云。吾書比之鍾張。
鍾當抗行。或謂過之。張草猶當鴈行。然張精熟。池水盡墨。假令寡人耽之若此。
未必謝之。此乃推張邁鍾之意也。考其專擅。雖未果於前規。摭以兼通。
故無慚於即事。評者云。彼之四賢。古今特絕。而今不逮古。古質而今妍。
夫質以代興。妍因俗易。雖書契之作。適以記言。而淳醨一遷。質文三變。
馳騖沿革。物理常然。貴能古不乖時。今不同弊。所謂文質彬彬。然 後 君子。
何必易雕宮於穴處。反玉輅於椎輪者乎。又云。子敬之不及逸少。猶逸少之不及鍾張。
意者以為評得其綱紀。而未詳其始卒也。且元常專工於隸書。百英尤精於草體。
彼之二美。而逸少兼之。擬草則餘真。比真則長草。雖專工小劣。而博涉多優。
總其終始。匪無乖互。謝安素善尺櫝。而輕子敬之書。子敬嘗作佳書與之。謂必存錄。
安輒題後答之。甚以為恨。安嘗問敬。卿書何如右軍。答云。故當勝。安云。
物論殊不爾。子敬又答。時人那得知。敬雖權以此辭折安所鑒。自稱勝父。不亦過乎。
且立身揚名。事資尊顯。勝母之里。曾參不入。以子敬之豪翰。紹右軍之筆札。
雖復粗傳楷則。實恐未克箕裘。況乃假託神仙。恥崇家範。以斯成學。孰愈面牆。
後羲之往都。臨行題壁。子敬密拭除之。輒書易其處。私為不惡。羲之還見。乃歎曰。
吾去時真大醉也。敬乃內慚。是知逸少之比鍾張。則專博斯別。子敬之不及逸少。
無或疑焉。余志學之年。留心翰墨。味鍾張之餘烈。挹羲獻之前規。極慮專精。
時逾二紀。有乖入木之術。無間臨池之志。觀夫懸針垂露之異。奔雷墜石之奇。
鴻飛獸駭之資。鸞舞蛇驚之態。絕岸頹峰之勢。臨危據槁之形。或重若崩雲。
或輕如蟬翼。導之則泉注。頓之則山安。纖纖乎似初月之出天崖。落落乎猶眾星之列河漢。
同自然之妙有。非力運之能成。信可謂智巧兼優。心手雙暢。翰不虛動。下必有由。
一畫之間。變起伏於峰杪。一點之內。殊衄挫於豪芒。況云積其點畫。乃成其字。
曾不傍窺尺櫝。俯習寸陰。引班超以為辭。援項籍而自滿。任筆為體。聚墨成形。
心昏擬效之方。手迷(軽重之)揮運之理。求其妍妙。不亦謬哉。然君子立身。
務修其本。揚雄謂。詩賦小道。壯夫不為。況復溺思豪釐。淪精翰墨者也。夫潛神對弈。
猶標坐隱之名。樂志垂綸。尚體行藏之趣。詎若功宣禮樂。妙擬神仙。猶埏埴之罔窮。
與工鑪而並運。好異尚奇之士。翫體勢之多方。窮微測妙之夫。得推移之奧賾。
著述者假其糟粕。藻鑒者挹其菁華。固義理之會歸。信賢達之兼善者矣。存精寓賞。
豈徒然歟。(歟字下有衍文十七字)而東晉士人。互相陶淬。至於王謝之族。郗庾之倫。
縱不盡其神奇。咸亦挹其風味。去之滋永。斯道逾微。方復聞疑稱疑。得末行末。
古今阻絕。無所質問。設有所會。緘秘已深。遂令學者茫然。莫知領要。徒見成功之美。
不悟所致之由。或乃就分布於累年。向規矩而猶遠。圖真不悟。習草將迷。假令薄解草書。
粗傳隸法。則好溺偏固。自閡通規。詎知心手會歸。若同源而異派。轉用之術。
猶共樹而分條者乎。加以趨變適時。行書為要。題勒方幅。真乃居先。草不兼真。
殆於專謹。真不通草。殊非翰札。真以點畫為形質。使轉為情性。草以點畫為情性。
使轉為形質。草乖使轉。不能成字。真虧點畫。猶可記文。迴互雖殊。大體相涉。
故亦傍通二篆。俯貫八分。包括篇章。涵泳飛白。若豪釐不察。則胡越殊風者焉。
至如鍾繇隸奇。張芝草聖。此乃專精一體。以致絕倫。伯英不真。而點畫狼藉。
元常不草。使轉縱橫。自茲已降。不能兼善者。有所不逮。非專精也。雖篆隸草章。
工用多變。濟成厥美。各有攸宜。篆尚婉而通。隸欲精而密。草貴(貴字下有衍文二字)
流而暢。章務檢而便。然後凜之以風神。溫之以妍潤。鼓之以枯勁。和之以閑雅。
故可達其情性。形其哀樂。驗燥濕之殊節。千古依然。體老壯之異時。百齡俄頃
(頃字下有衍文六字)。嗟乎。不入其門。詎窺其奧者也。又一時而書有乖有合。
合則流媚。乖則雕疎。略(略字下有而字衍文)言其由。各有其五。神怡務閑一合也。
感惠徇知二合也。時和氣潤三合也。紙墨相發四合也。偶然欲書五合也。心遽體留一乖也。
意違勢屈二乖也。風燥日炎三乖也。紙墨不稱四乖也。情怠手闌五乖
(以上31字墨蹟原裝裱有誤,應置于第132行「心遽體」之後)也。乖合之際。優劣互差。
得時不如得器。得器不如得志。若五乖同萃。思遏手蒙。五合交臻。神融筆暢。暢無不適。
蒙無所從。當仁者得意忘言。罕陳其要。企學者希風敘妙。雖述猶疎。徒立其工。未敷厥旨。
不揆庸昧。輒効所明。庶欲弘既往之風規。導將來之器識。除繁去濫。覩迹明心者焉。
代有筆陣圖七行。中畫執筆三手。圖貌乖舛。點畫湮訛。頃見南北流傳。疑是右軍所製。
雖則未詳真偽。尚可發啟童蒙。既常俗所存。不藉編錄。(錄字下有衍文十八字)至於諸家勢評。
多涉浮華。莫不外狀其形。內迷其理。今之所撰。亦無取焉。若乃師宜官之高名。徒彰史牒。
邯鄲淳之令範。空著縑緗。暨乎崔杜以來。蕭羊已往。代祀緜遠。名氏滋繁。或藉甚不渝。
人亡業顯。或憑附增價。身謝道衰。加以糜蠹不傳。搜秘將盡。偶逢緘賞。時亦罕窺。
優劣紛紜。殆難覶縷。其有顯聞當代。遺跡見存。無俟抑揚。自標先後。且(且字下有衍文五字)
六文之作。肇自軒轅。八體之興。始於嬴政。其來尚矣。厥用斯弘。但今古不同。妍質懸隔。
既非所習。又亦略諸。復有龍蛇雲露之流。龜鶴花英之類。乍圖真於率爾。或寫瑞於當年。
巧涉丹青。工虧翰墨。(墨字下有既字衍文)異夫楷式。非所詳焉。代傳羲之與子敬筆勢論十章。
文鄙理疎,意乖言拙。詳其旨趣。殊非右軍。且右軍位重才高。調清詞雅。聲塵未泯。翰櫝仍存。
觀夫致一書。陳一事。造次之際。稽古斯在。豈有貽謀令嗣。道叶義方。章則頓虧。一至於此。
(此字下有衍文五字)又云與張伯英同學。斯乃更彰虛誕。若指漢末伯英。時代全不相接。
必有晉人同號。史傳何其寂寥。非訓非經。宜從棄擇。夫心之所達。不易盡於名言。言之所通。
尚難形於紙墨。粗可髣髴其狀。綱紀其辭。冀酌希夷。取會佳境。闕而未逮。請俟將來。
今撰執使用轉之由。以祛未悟。執謂深淺長短之類是也。使謂縱橫牽掣之類是也。
轉謂鉤鐶盤紆之類是也。用謂點畫向背之類是也。方復會其數法。歸於一途。編列眾工。
錯綜群妙。舉前賢之未及。啟後學於成規。窮其根源。析其枝派。貴使文
(自漢末伯英以下至文字以上原闕一百六十六字)約理贍。迹顯心通。披卷可明。下筆無滯。
詭辭異說。非所詳焉。然今之所陳。務裨學者。但右軍之書。代多稱習。良可據為宗匠。
取立指歸。豈惟會古通今。亦乃情深調合。致使摹搨日廣。研習歲滋。先後著名。多從散落。
歷代孤紹。非其(其字下有或字衍文)効歟。試言其由。略陳數意。
止如樂毅論黃庭經東方朔畫讚太師箴蘭亭集序告誓文。(文字下有學字衍文)斯並代俗所傳。
真行絕致者也。寫樂毅則情多怫鬱。書畫讚則意涉瓌奇。黃庭經則怡懌虛無。太師箴又從橫爭折。
暨乎蘭亭興集。思逸神超。私門誡誓。情拘志慘。所謂涉樂方笑。言哀已歎。豈惟駐想流波。
將貽嘽緩之奏。馳神睢渙。方思藻繪之文。雖其目擊道存。尚或心迷義舛。莫不強名為體。
共習分區。豈知情動形言。取會風騷之意。陽舒陰慘。本乎天地之心。既失其情。理乖其實。
原夫所致。安有體哉。夫運用之方。雖由己出。規模所設。信屬目前。差之一豪。失之千里。
苟知其術。適可兼通。心不厭精。手不忘熟。若運用盡於精熟。規矩諳於胸襟。自然容與徘徊。
意先筆後。瀟灑流(自心不厭精以下至流字以上原闕三十字)落。翰逸神飛。亦猶弘羊之心。
預乎無際。庖丁之目。不見全牛。嘗有好事。就吾求習。吾乃粗舉綱要。隨而授之。無不心悟手從。
言忘意得。縱未窺於眾術。斷可極於所詣矣。若思通楷則。少不如老(老字下有衍文四字)
學成規矩。老不如少。思則老而愈妙。學乃少而可勉。勉之不已。抑有三時。時然一變。極其分矣。
至如初學分布。但求平正。既知平正。務追險絕。既能險絕。復歸平正。初謂未及。中則過之。
後乃通會。通會之際。人書俱老。仲尼云。五十知命。七十從心。故以達夷險之情。體權變之道。
亦猶謀而後動。動不失宜。時然後言。言必中理矣。是以右軍之書。末年多妙。當緣思慮通審。
志氣和平。不激不厲。而風規自遠。子敬已下。莫不鼓努為力。標置成體。豈獨工用不侔。
亦乃神情懸隔者也。或有鄙其所作。或乃矜其所運。自矜者。將窮性域。絕於誘進之途。自鄙者。
尚屈情涯。必有可通之理。嗟呼。蓋有學而不能。未有不學而能者也。考之即事。斷可明焉。
然消息多方。性情不一。乍剛柔以合體。忽勞逸而分驅。或恬澹雍容。內涵筋骨。或折挫槎枿。
外曜峰(峰字下有衍文一字)芒。察之者尚精。擬之者貴似。況擬不能似。察不能精。分布猶疎。
形骸未檢。躍泉之態。未覩其妍。窺井之談。已聞其醜。縱欲搪突羲獻。誣罔鍾張。安能掩當年之目。
杜將來之口。慕習之輩。尤宜慎諸。至有未悟淹留。偏追勁疾。不能迅速。翻效遲重。夫勁速者。
超逸之機。遲留者。賞會之致。將反其速。行臻會美之方。專溺於遲(遲字下有衍文四字)終爽絕倫之妙。
能速不速。所謂淹留。因遲就遲。詎名賞會。非夫心閑手敏。難以兼通者焉。假令眾妙攸歸。
務存骨氣。骨既存矣。而遒潤加之。亦猶枝榦扶疎。凌霜雪而彌勁。花葉鮮茂。與雲日而相暉。
如其骨力偏多。遒麗蓋少。則若枯槎架險。巨石當路。雖妍媚云闕。而體質存焉。若遒麗居優。
骨氣將劣。譬夫芳林落蘂。空照灼而無依。蘭沼漂蓱。徒青翠而奚託。是知偏工易就。盡善難求。
雖學宗一家。而變成多體。莫不隨其性欲。便以為(為字下有資字衍文)姿。質直者。則徑侹不遒。
剛佷者。又掘強無潤。矜斂者。弊於拘束。脫易者。失於規矩。溫柔者。傷於軟緩。躁勇者。
過於剽迫。狐疑者。溺於滯澀。遲重者。終於蹇鈍。輕瑣者。染於俗吏。斯皆獨行之士。偏翫所乖。
易曰。觀乎天文。以察時變。觀乎人文。以化成天下。況書之為妙。近取諸身。假令運用未周。
尚虧工於秘奧。而波瀾之際。已濬發於靈臺。必能傍通點畫之情。博究始終之理。鎔鑄蟲篆。陶均草隸。
體五材之並用。儀形不極。象八音之迭起。感會無方。至若數畫並施。其形各異。眾點齊列。為體互乖。
一點成一字之規。一字乃終篇之准。違而不犯。和而不同。留不常遲。遣不恆疾。帶燥方潤。將濃遂枯。
泯規矩於方圓。遁鈎繩之曲直。乍顯乍晦。若行若藏。窮變態於豪端。合情調於紙上。無間心手。
忘懷楷則。自可背羲獻而無失。違鍾張而尚工。譬夫絳樹青琴。殊姿共豔。隋珠和璧。異質同妍。
何必刻鶴圖龍。竟慚真體。得魚獲兔。猶恡筌蹄。聞夫家有南威之容。乃可論於淑媛。有龍泉之利。
然後議於斷割。語過其分。實累樞機。吾嘗盡思作書。謂為甚合。時稱識者。輒以引示。其中巧麗。
曾不留目。或有誤失。翻被嗟賞。既昧所見。尤喻所聞。或以年職自高。輕致陵誚。余乃假之以緗縹。
題之以古目。則賢者改觀。□夫繼聲。競賞豪末之奇。罕議峰端之失。猶惠侯之好偽。似葉公之懼真。
是知伯子之息流波。蓋有由矣。夫蔡邕不謬賞。孫陽不妄顧者。以其玄鑒精通。故不滯於耳目也。
向使奇音在爨。庸聽驚其妙響。逸足伏櫪。凡識知其絕群。則伯喈不足稱。良樂未可尚也。至若老姥遇題扇。
初怨而後請。門生護書機。父削而子懊。知與不知也。夫士屈於不知己。而申於知己。彼不知也。曷足怪乎。
故莊子曰。朝菌不知晦朔。蟪蛄不知春秋。老子云。下士聞道。大笑之。不笑之則不足以為道也。
豈可執冰而咎夏蟲哉。自漢魏已來。論書者多矣。妍蚩雜糅。條目糾紛。或重述舊章。了不殊於既往。
或苟興新說。竟無益於將來。徒使繁者彌繁。闕者仍闕。今撰為六篇。分成兩卷。第其工用。名曰書譜。
庶使一家後進。奉以規模。四海知音。或存觀省。緘秘之旨。余無取焉。

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