仮巻表装を依頼する

書道
投稿日:2020年1月28日
仮巻表装

書道専門店のエピソードストーリー、今回で9回目、仮巻表装です。
今回登場するのは、書道の表装(今回は軸装)にお求めやすい仮巻表装と紙表装です。

お子さんやお孫さん、学生さんの書道作品を飾ったり、ちょっとした集まりの展覧会に出品するときに、経済的な負担が少なく表装出来るということで、人気の高い軸装です。

  1. 仮巻表装するお子さん用の掛け軸
  2. 仮巻表装にするか仮巻にするか
  3. 仮巻表装にするか紙表装にするか

登場するサービス:

仮巻表装(職人に依頼する表装)
紙表装  (職人に依頼する表装)


書道短編小説 仮巻表装篇

仮巻表装するお子さん用の掛け軸

寒い冬がようやく終わり、春らしい気持ちのよい晴天が続いていた3月末。
今日は久々の雨で、朝からお客さんの来店はまばらで、店内は閑散としている。
そのせいで、いつもよりBGMの音が大きく感じる。

大阪教材社の店舗は、ロードサイドの立地ではあるけれど、近くの住宅街から自転車で買いに来られるお客さんもおられる。
そんな場所に位置しているから、天候が崩れると来客数の影響は避けられない。

こういう日は、普段あまり出来ない店内の掃除か経理作業、ホームページの更新をすると決めている。
今日は気分的に鬱々としていたので、気持ちを一新するために掃除をすることにした。

店内で1日中流しっ放しにしているFMラジオをBGMに、右手に濡れ雑巾、左手に乾いた雑巾を
持って掃除をはじめる。

濡れ雑巾だけでガラスを拭くと、乾いた後に水跡が残ってしまい、拭く前より汚れてしまうなんてことがある。そんなことが無いように、2種類の雑巾をセットで使うことは必須だ。

今日は悪天候のせいか、雨をテーマにした選曲が続いていたが、CM明けてすぐにジャズの曲が流れはじめた。
普段ロックの選曲が多いこのラジオ局には珍しく、大人のムードたっぷりの曲が流れはじめた。
日本のジャズミュージシャンのTOKUだ。
トランペットの音に似た、丸くやさしいフリューゲルホーンの音色が店内に響いて、なんとも心地がよい。

15分程の雑巾掃除で、くすんでいたガラスは、指紋ひとつないほどピカピカになった。
この達成感がなんとも言えず気持ちいい。

使用済みの雑巾を片付けていると、見覚えの無いメタリックレッドのRV車が店の前で停まった。

おそらくはじめて来られるお客さんだ。
降車してお店に入ってこられたその人は、40代半ばのメガネがよく似合う男性、おそらく私と同い年くらいだろう。

入店されると、目があった私に早速声を掛けてこられた。

「子供の書道作品を表装したいんですが。」

詳しくお伺いすると、はじめて書道塾の展覧会に出品したお子さんの書道作品が賞に入ったということで、記念に表装したいとのこと。

黒々とした墨の文字が、半切サイズの画仙紙からはみ出さんばかりに躍動している。
子供らしい元気な作品で、見ていると思わず顔がほころんでしまう。

仮巻表装にするか仮巻にするか

「ご自分で作品をお軸に貼られますか?それとも専門の職人に依頼されますか?」

「自分でうまく貼る自信が無いので、職人さんにお願いしたいです。」

書道作品をお軸にする場合、職人に表装を依頼するか、仮巻軸を購入し、自分で作品を貼るかの
どちらかになる。

自分で貼る場合、価格が安く抑えられるメリットはあるが、慣れていないとキレイに貼れないことがある。

仮巻軸に書道作品を貼る際は、出来れば裏打し、その後に軸に貼っていただけると作品のシワがのびて、見た目が美しい。

裏打経験がなく、うまく裏打出来るか心配な方には、アイロンで簡単に貼れる裏打紙もあるので、ぜひ試していただきたい。(半紙サイズ用で税抜400円から)
最近はアイロンを使わないタイプの裏打用紙も人気だ。
仕上げに仮巻用一文字シールを書道作品の上下に貼れば、より書道作品のお軸らしい仕上がりになる。

仮巻表装にするか紙表装にするか

「お子さんの作品を表装したいということであれば、紙で仕立てる表装がオススメです。

紙のお軸には、2種類ございます。

まず仮巻表装というお軸は、1枚ものの紙を使って、簡易的なお軸にさせていただきます。
価格は税抜きで2,000円です。

紙表装は、作品上部の天、作品下部の地、作品の左右の柱の3つのパーツを組み合わせたしっかりしたつくりで、正式な軸の仕立て方です。こちらは税抜き4,000円です。」

店舗に置いているミニチュアのサンプルをお見せすると、しばらく考えていた男性は紙表装を選んだ。

紙の色は、6種類ある中で、薄い紅色をチョイス、「うめの花」と書かれた春らしいテーマの書道作品にぴったりの色だ。

「10日ほどで仕上がりますので、仕上がりましたら、改めて連絡させていただきます。
お代も表装が仕上がってからで結構ですよ。」

そうお伝えすると、はじめてお客さんから少し笑みがこぼれた。

「僕自身は書道をしないので、書道専門店に入るのも初めてなんです。
慣れてないから敷居が高くて、ちょっと緊張していたんです。」

少し雑談していると、1人娘のお子さんは、結婚されて10年目に産まれた待望の赤ちゃんだった
そうで、そのお子さんが書道で表彰されたことは、ご夫婦にとって大きな喜びだったようだ。
私の子供も結婚10年目に産まれたので、親近感をおぼえて、つい長話しをしてしまった。

書道作品の表装を通じて、お客さんの思い出づくりのサポートが出来るのは、本当にありがたいことだと思う。
お客さんをお見送りして、空を見上げると、分厚い雨雲から薄っすら光が漏れている。

「もう掃除するところ無いから、明日は晴れてや。」

心の中で、空に向かって呟いた。

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